それは僕が自動車販売の営業としてバリバリいやダラダラ働いていた時の話し。
ある週末、土日はカーディーラーにとって一番忙しく新規のお客様が多く来店される日。日も暮れようとする頃、そーとある夫婦が店に入って来たのだ。
新人の頃は皆同じように見えてしまうのだが、何年も同じ事を繰り返していると見えてくるものがある。お客様の背中にいる背後霊だ。ってなんでやねん!
来店してきたお客様が車を買ってくれるかどうかを見ただけでわかるようになるのだ。勿論100%ではない。それは確率の問題で、長年やっている先輩になると90%ぐらいで当ててくる。細かい情報の積み上げで営業マンの洞察力は霊能者並にいや、正しく言えばdaigoのようなメンタリスト的な能力である。
こう書くと凄い能力にうつるが、そんなにたいそうなものでもない。当たり前の情報を当たり前に処理すれば自ずとそれらしい答えは出るものなのだ。
買いもしないただの車マニアや、冷やかしに時間を割くわけにはいかない。営業は売らなきゃならんのだ。意地悪な先輩は後輩たちに買わなそうな客を相手させる。顎で合図をして「お前がいけ」と。
相撲部屋でゆう可愛がりの変形だ。
その夫婦が入っていた時は運がよく先輩たちはみな、他の"買いそうなお客"を相手している。いるのは私だけしかも買いそう指数3800ぐらいの夫婦!ダッシュで駆け寄った。
「こばんわあ~」まず挨拶から入る。すると旦那さんが「ここ軽自動車ある?」ときた。確定フラグがはやくもたってしまい、ニヤニヤしたいのを必死に堪えながら物凄く自然にテーブル席へと案内し素早く椅子を二つ引いた。
聞けば奥様が普段のる軽自動車をお探しとのこと。私は話しを聞きながら奥様の服装から目線、旦那さまの服装から目線と気付かれないように注意深く観察する。情報は多ければ多いほうがいい。情報が多すぎて困るということはないのだ。
アンケートに情報を書いてもらい、間髪入れず見積りをつくった。なんやかんやでその場では決まらず、お客様を見送る。経験のないかたや他の販売店の営業からすると一見普通にみえる流れだが、そのお店では失格に近い流れ。新人の場合だとダメ出しというか"焼きが入る"可能性もある。
何故?って帰ると言って他の販売店で買われたらどうすんの?って話しなんす。
「すいません他で買われてしまいました。」って言えば許されるような世界ではない。「てめえ何考えてんだ!バカ野郎!他で買われただー?そのお客さんは車を買う人だったんだ!なんでお前から買わなかったんだ?ん?なんでた? なんで帰したんだ!バカ野郎」ってな感じで3~5時間ぐらいミッチリ焼きが入るのであります。あーなんか懐かしいな(涙)
まあ、その頃は新人でもなかったのでとれる情報は全てとり宿題ももらい次のアポもとっていたので自然の流れを壊さず、帰したのであります。アンケートを見ながら作戦をたてる。ムム、ムムム、なんと職業欄に"住職"の二文字、キターーーーーー。
これはいい流れ、住職とはつまりお坊さん。カーディーラーからみて熱い職業というのがいくつかある。基本的には公務員全般とお医者さん関係、看護士さん、等々まだあるが、それらの中でもトップクラスの職業がお坊さんなのだ。
まず、基本的にお金持ち、法人税などかなりの範囲で非課税の部分があり宗教法人は守られている。それと毎日のように檀家さんをまわっているんです。つまり走行キロ数が半端ないのです。走行キロ数が半端ないということは車の入れ替え時期も他の職業の方より早く何台も買って頂ける可能性を秘めているのです。
気に入って頂ければかなり太いお客様なんですな。嫌でも鼻の穴は膨らむのです。
アポは次の日だったのですが、普通に地図をコピーすると見積りをとった車の試乗車でそのお寺に直行。その日のうちにピンポンであります。これ基本です。鉄は熱いうちに打てとありますがまさにで早くしないと他でという可能性だけが上がってしまいます。簡単に言えば手ぶらで帰ろうもんなら殺されてしまうんですw
会社は優しくないのですが、お客様は優しい方が多く、「え?さっき話ししたばっかりじゃん」と言いつつ大体のかたは家にあげてくれるもの。
さっそく商談の続きであります。せっかく乗ってきた試乗車がもったいないので試乗を促し奥様にも運転してもらう。この時点で8割はクリアです。あとは最終関門のお値段の話し。付属品のあれつけたいこれつけたいのやんややんや始まり、グダグダとしてきた時、住職にスイッチが入ります。とても普段、仏教、仏法を説く仕事をされている人とは思えないようなゴリゴリの値引き交渉であります。
はい、でましたラスボス生臭坊主の登場であります。
ドアバイザーという付属品がありましてなかなか高いんです。工賃いれて2万くらいだったかな?ちょっと忘れましたが、
ラスボスはこれをサービスしろサービスしろとうるさいのなんのって、そもそも軽自動車に利幅など無いに等しいので、いやーできないんですと私も耐えるわけです。
さんざんやり合った後に奥様が「あなたもういいでしょこれに決めましょう」と言ってくれました。僕は内心ホッとしてラスボスの顔をみると仕方ないと言った感じでボソッとこう言いました。
「まあ、いいか、水子の霊供養一回分だしな」
えーーーーーーーーーーーーーーー。
く、腐ってはるこのラスボス腐ってはる。ブッタさーん!とんでもない人がと思いつつ、ニコニコしたまま、契約書をもらい無事に会社につきました。
けど「水子の霊供養一回分」という台詞が頭にまとわりついてなんとも気持ちの悪い1日になりました。他にもホラーから温かい話しまで沢山あるのでまた書いていきたいと思います。でわでわ。
0 件のコメント:
コメントを投稿