物静かな俊太からいきなりの好きな人います宣言に若干の戸惑いと野次馬根性と良かったねと言う気持ちが入り交じった帰り道。
だいたい直美って誰?と思うほど僕は皆が迎えているであろう思春期とやらをまだ迎えていないようだ。
いつも、クールな俊太をこんなにもモジモジさせる恋とはいったいどんなものだろうか?少しだけ自分も興味を持ってしまう。
僕も恋をしたらこんなにモジモジしちゃうのだろうか、クールな俊太でさえあの有り様だ、自分はよだれを垂らしてアホになってしまうのではないかと少し心配する。
俊太はどうしていいか全くわからない様子だった。とにかく好きな人がいる宣言をした後はずっとあの子が好きだしか言わなくなった。僕は俊太が気が触れてしまったのではないかと心配になるほど、同じことを連呼していた。
ずーと貯めていたのかもしれない思いにかなりの利子がついて払い戻されているのであろう。恋は止まらないのであります。
僕は「俺もわかんないけどさあ、応援するよ」と言うと俊太は今まで見せたことのない笑顔と泣きそうな顔が混ざった表情をして大きく頷いた。
とは言え本気でわからないのだ。なんせ僕は人を好きになったことなどないし、あの俊太がこんな風になった事など過去に1度もないのだ。
適当に中途半端な優しさだけで、勝手に力になると宣言してしまった。僕の悪い癖が一番悪いタイミングででたのかもしれない。
後に引けない僕は僕なりに「いろいろ話しして、近づいたら?」と物凄く当たり前の事を言って時間を稼いでいたら、気付けば家についていた。
「また明日なー!」と言って手をふると、いつもは指しかあげない俊太が大きく腕を振って小走りに帰っていった。
はー。
困った。
どうすれば良いのだろう。
だいたい直美って誰だよ、、、あっ。
思い出したように僕は中学の時の卒業アルバムを開いた。
別のクラスだったが確かにその直美はいた。
僕は写真を指でなぞりながら、君が直美かと言って、アルバムを閉じた。
一瞬何か感じたがスーと頭からその感覚は消え、すぐに忘れていつものテレビをつけていた。
次の日、学校で彼女をみつけた。俊太が好きになるのが少しずつわかるような気になってきた。
黒くて長い髪、少しだけ垂れた目に雪みたいな白い肌。全体的に優しい雰囲気を出している、ほとんど言葉を発しない。ここは俊太に似ている。
まるで探偵にでもなったように彼女を調査、いや観察していた。
俊太との帰り道、少し変な違和感を覚えはじめていた。何故か俊太から彼女の話しが出てこない。もしかすと俊太は沢山彼女の事を話してるかもしれないが、聞き取れないのか、自分の耳が聞きたくないのか、とにかく彼女の話しが聞こえないのだ。
続く
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