音もなく雪はただ落ちてきた。
自然と手のひらを上にする。
手で雪を受け止めなくともわかるのに手は勝手に動いてる。
今年も冬が来てしまった。
幼なじみの俊太はなにも言わず上を見上げて歩き続けた。
俊太はあまり話さない。幼稚園の頃からそうだ。けど一番の親友でずっとこうして高校生になった今も同じ学校から一緒に帰る。
僕は伸二。生まれは旭川だ。
小学校の頃は雪が降ると心が踊った。奇声をあげては雪玉をつくり友達にぶつけていた。
その証拠にすれ違う小学生は奇声をあげてはしゃいでいた。
僕は少しニヤっと笑みを浮かべて俊太の顔を覗いた。
何?と言わんばかりの真顔で口を少しだけつき出している。眉毛も片方だけ上がっていた。
僕は全力で走りだし、うっすらと積もった雪を集めると、葬式の手伝いにきた奥様連中のように手際よく雪玉を握り、サイドスローで俊太の顔面をめがけて投げた。
ひさしぶりに投げた為、肩がハズレるかと思うほどの痛みを感じながら笑ってしまう。
俊太は冷静に左手で払いのけた。
どんなにはしゃいでもいつもクールな俊太に僕は軽く嫉妬していたかもしれない。けどそんな俊太が大好きだった。
幼稚園のときからずーとそうだ。
これといったエピソードもない、ただ家が近くて生まれた年が同じだっただけ。
人が人を好きになるのに理由なんて馬鹿げてる、友達でも幼なじみでも恋人でも家族でも理由がある好きなんてあるのだろうか?
けど僕も彼も高校生になってしまった。
新しい生活のはずが、幼稚園の頃から一緒にいる幼なじみと帰る道。変わらない親友と変わらない景色は思春期の僕を油断させるには充分な環境だった。
だんだんと高校生活に慣れ勉強も遊びも部活もそれなりにこなして過ごしているとあっというまに3年生になってしまった。
いつも大人しい俊太がいつもと違う雰囲気を出していて僕は少し気持ち悪くなっていつもより速足で歩いた。
妙にソワソワする、当たり前だ俊太がソワソワしているからだ。
いつも物静かな俊太が口を開いた。
俊太「あのさー、実は相談があって」
僕 「なにさー、言ってよ何々?」
俊太「実はさ好きな人がいるんだ、同じクラスの直美」
僕 「えーーー、俊太が好きな人?アハハ、マジかよーいいじゃんいいじゃん、って待って直美?あーわかったあの子ね、はい、はい」
俊太 「でも俺なんかダメだよ絶対、あーどうしよう。はあ」と深く溜め息をついた。
僕は勝手に親友の初恋を野次馬のごとく喜び他人事のように茶化して笑っていたが、まさかあんな事になるとは夢にも思ってなかったのです。
続く。
0 件のコメント:
コメントを投稿