2016年4月1日金曜日

She loves you

気がつくと自転車を全力でこいでいた。頭の中ではビートルズのShe loves you が鳴っている。まだ確かではないのだけど希望なんだろう。けど何か違う雰囲気もした。少しだけ不気味な気配を僕は感じていた。

繁華街を抜けて   閑静な住宅街の小道に入る。最短距離を最速で走り抜けた。少し息は上がっていたがそのままインターホンに部屋番号を入力した。プルルルガチャ「はい」はじめセッチャンかと思うぐらいその声は似ていた。「あっあっ」と口ごもると「もしかしてヒロくん?」「入って」とブーーと音がなると自動ドアが開いた。

エレベーターを上がる途中息を整えながら自分の名前をまだ会っていない人から聞く感じが心地いいものだと思った。しかもセッチャンのお母さんからなら尚更だ。

部屋にはすぐ入れてもらえた。

「はっはじめましてヒロです。」

「聞いてるわ節子から座って頂戴」とリビングの椅子を引かれた。

「なんかあったんですか?」

「あなたにこんなことを話すのは親としてすごく恥ずかしいんだけど、あの子ずっと学校にいってなくて先生からよく連絡がくるの、最初はイジメにでもあっているのかと思ったんだけど、違うみたいで、なんで学校にいかないのか問いただしたら急に怒りだして、最近ずっと引きこもってばかり。私も仕事があるし、なかなか構ってあげられなくて、ご飯は私がいない時に食べてるみたいだけど、どうしていいか正直困っていたの、ただあなたの話しなら前に節子から聞いていたから。」

「ドアを開けてくれないんですか?」

「そうなの」

僕はない頭で少しだけ整理しようと思ったけど、意外にセッチャンに似ているお母さんを目の前に落ち着ける状態ではなかった。

「じゃあ僕が試してみます」と言ってドアをノックした「ヒロだけど」

ガチャと1発で開けてくれた。

部屋に入るやすぐにロックをしたセッチャンは「遅い」と僕を叱った。

そこにいたセッチャンはパジャマ姿で前に会った時より確実に痩せていて頬はこけ、目がつり上がっていた。

座ろうとする僕を引きずりあげてセッチャンは強く抱き締めてきた。正直痛いぐらい締めてきたので「痛いよ」と言うと「うるせえ馬鹿」と返ってきた。

ようやく解放されると鼻をすする音が聞こえた。

僕は置かれている状況がよくわからなかったから自分の感性のまま話すことにした。

「ひさしぶりだね」と言うとさっそくペーパーを広げだしたので
反射的に手でおさえた。

「セッチャンどうしたの?」

なにも答えないで俯くセッチャン。

「まあ、いいや。俺セッチャンに聞きたいことがあって」

「んーやっぱやめとく」と言うと

「なんでやめるだよ馬鹿言えよ」と急かされた。

僕は自分でもよくわからない行動にでた。彼女をベットに寝かせると頭を撫でた。彼女はしばらくして寝息をたてはじめ、そっと離れると僕はドアを開けた。

お母さんは「ありがとう」と言ってしばらくセッチャンの側に座ったままで、シクシク泣いていた。

僕はそのまま部屋を後にした。

自分の気持ちとかなんとかどうでもいい状況がそこにあったし仕方なかったと自分に言い聞かせて自転車をこいでいた。

行きはShe loves you で帰りはHey Jude。

とにかく会えただけでも嬉かったし自分の気持ちを確認できただけ良かったとしないとなんともやりきれない気持ちになった。ただ明らかに自分のてにおえない事になっていたから自然と強くなりたいと思うようになっていた。

いい結果なのか悪い結果なのかもわからなかったから次の日にまた先輩に聞こうと思う。

翌朝仕事を終えてから先輩に近づいた。すると「この前のお返しするわ」と逆にコーヒーを奢ってもらった。

「で?どうだったの?」といきなり切り出されてすぐにありのままを話すと先輩はしばらく考えていた。

「ヒロくんいいね。普通ならでしゃばっちゃうところだけど年下だからそうなったのかな?まあいずれにしてもそれ以外に正解はないような気がするよ、まあ正解なんて存在しないんだけどね。なんで学校にいかないのかはわからないけど、基本的に寂しいんじゃないかな?」

「寂しいんですか?」

「うん、多分ね。お父さんはオーストラリアでお母さんも仕事で忙しい、さらに学校に馴染んでないんだ。16って歳は一応結婚できる歳なんだけどそれは法律だけの話しであって中身はまだまだ子供だよ、寂しいってのはつい最近にあった話しじゃなくてずーと本人も気付かない長い時間そうだったんじゃないかなあ、わからないけどね、もしかしたらオーストラリアではイジメにもあっていたかもしれないオーストラリアは大きいけど日本と同じ島国だ、アメリカなんかより差別はエグかったりするからね、黒人が少ない分、黄色人種もしくは混血に風当たりが強いかもしれない、まあ実際はわからないけどね、ヒロ君は寂しいってことはないの?」

「僕はまったくないですね」

「んーヒロ君は僕に相談を持ちかけた時点で少し変わっているからな、そうなかな」

「どういう意味ですか?」

「いやどうってことはないよ、君が変わっていたから良かったと言うことだよ、子供ってのは基本的に賢い、よくわかる。だから面倒になることもあるんだよ、変なところで頑張っちゃう力が働くんだ。素直になれないところで歳だけどんどんとっていくんだよ、しかも女の子なら尚更頑張っちゃう。少し気が強いだけで尖っちゃうから、んーなんだっけ名前?あーセッチャンだっけ?彼女はお母さんに性格が似てるんじゃないかなあ、もし似ているんだとしたら余計にやっかいだよね気が強いもの同士。しかも同姓だ。お互い引かないし。ここにお父さんがいないのは致命的かもしれない。」

「じゃあどうしたら?」

「くぅ、難しいねえ、痺れるね。いや好きだけどこういうの、んーそうだなあ…」

と言うと僕の耳元でゴニョゴニョと先輩は伝えてくれた。

僕がこの先輩を信用しているのはこの訳のわからない話しを全力でしてくれるとこにある、つまり子供扱いしていないのだ僕のことを。

これだけで僕はこの先輩を信用するしたとえよくない結果がきても受け入れられる気がするのだ。

先輩の奇策がうまくいくかはわからないただ、どうにもできない状況をなんとかしようと思えば先輩の策を信用するほかなかったのだ。

続く

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