2016年3月31日木曜日

友達じゃ我慢できない

僕の家は繁華街のど真ん中にあるぼろアパートだ。母が離婚してから住んでいる。もう3年はたったのだろうか。酔っぱらいが夜中暴れたり、家の前で寝込んだり、ゲロを吐いたり、喧嘩したりする。僕はあまり気にならなかったし、むしろ好きなんじゃないかと思う。

僕は人間という動物がそんなにいい生き物ではないように感じていたし、それらの光景が何故か僕を安心させてくれた。

亮くんに彼女ができたらしく学校ではよく話しするが二人で遊ぶことが減っていった。まったく気にしないと言えば嘘になるし寂しいと言えばそうなのかもしれないが、僕にはもっと気になる存在がいた。

セッチャンだ。

ラインもtwitterも知っているが殆ど会話はしない。必要最低限の業務連絡だけだ。その業務連絡も最近なくなっていった。

自分から連絡したら負けだとか恋愛における駆け引きのようなものにまったく興味はなかった。ただ連絡したければすればいいと簡単に思っていたのにダラダラと時間だけが過ぎていった。

亮くんから誘われた新聞配達をまだしている。誘った亮くんが先に辞めていた。朝早く起きるのは辛いのだけど、誰も起きていない夜中の街を自転車で走ると本来の美しさを独り占めにできたような錯覚になる。それがいつしか好きになっていた。

配達の終わりにホテル街を抜ける。この時何か嫌な感じが僕を襲う。見てはいけない人達が出てきやしないか心配になるのだ。僕がいつも読んでいる本ならセッチャンと中年男がホテルから出てくるのを偶然発見するというパターンだ。そんな想像を逆にするのは自己防衛機能を鍛えているだと思う。想像はあくまで想像でその範疇をでない。実際になってみないとわからない。だから仮定の話が僕はあまり好きじゃない。現実が逆に厳しいのはこんな本みたいな事がまったく起きない点で未来を誰にも予想させないところだ。だから起きてしまう出来事は想像をこえてしまう。

僕は彼女に何かをハッキリ伝えた訳でもないし彼女もまた何かを伝えた訳でもない。強烈な刺激と体験がそこにあっただけだ。

こんな時は確かめる以外に選択肢はないのだろう。ラインを入力しようとスマホを握る。なんて入力しようか2日考えた。お化けの100倍は怖い。むしろ落ち着かせる為にお化けを思い出したぐらいだ。

(-_-)元気?

2日考えた結果かなりシンプルな出来だった。自分で自分を改めて馬鹿だと思ったし、ほんのちょっとでも「クスっ」ってなってくれないかという期待が込められていて必死感がキモかった。

既読になるのかならないのかはto be or not to be の世界観で愚かさが全面に溢れていた。twitterでたまに見る「死にたい」という言葉の意味が少しだけわかったような気がした。

母に相談とかないと思った、ましてや親父はもっとなかった。あっと思った。新聞屋に一人だけ雰囲気の違う気になる先輩がいた。歳はいくつだろうか?30ぐらいだろうか。

この人なら鼻で笑われてもいいと感じる人だった。

既読にならずに次の日の朝、仕事を終えてから新聞屋の先輩に相談した。

缶コーヒーを買って渡す時に相談があるんですと言うと「ん、何?」とすぐに聞いてくれた。新聞屋の裏に二人で座った。
僕は包み隠さず話しをした。

「なんかいいねえ、こんな話しを聞かされるとは思ってもみなかったけど、何て言っていいか正直よくわからないなあ。相手のあることって難しいんだよね、だから俺が言うことが正しいなんて思って聞かないでね、ところでヒロくんはどうなんだろう?つまりどう思っているのだろうか?こういうのってさ、だいたいどちらも中途半端な状態だったりするんだよね。どちらかがハッキリしないと何にもわからないんだよ。勿論ハッキリしたらうまくいくとかそうじゃないんだけど、何か結果を得たいと思ったらとにかく自分の気持ちをハッキリさせる以外にないと思うよ。いい結果だけが結果じゃないしね、悪い結果でもそれは結果にかわりないんだ。結果ってのは前に進むんだ。だからいいとか悪いとか関係ないんだよ。まあ怖いって気持ちは痛いほどよくわかるけどね、楽になりたけりゃ行くしかないよな。」と言い終わるとポンっと肩を叩いてさっさと帰ってしまった。

僕は正直よくわからなかったが、怖いって気持ちはあるから多分そうなんだろうと思い、好きなのかどうかを考えてみた。ところで好きってなんだろう。

ナキミソ「友達じゃ我慢できない」https://youtu.be/ah6KTVeeSIc

ふと彼女のことを考えると不思議な現象に襲われた。何故か顔があまり思い出せないのだ。一瞬彼女もお化けだったんじゃないかと思ってしまった。何故だろう不思議でしょうがない。

いろいろ考えていたらラインの返事がきた。

(-_-)元気じゃねーよ。馬鹿

続く

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