2015年4月5日日曜日

雪が降るとき(最終回&第六話リンク)

雪が降るとき(第六話) http://wataken222.blogspot.com/2015/04/blog-post_5.html

久し振りに寝れた。思い返すと自分の情けなさが身に染みた。友子との不倫がバレて良美と離婚に至った時は正直気持ちが楽になった。ようやく解放されたと心のどっかでは思っていたと思う。表向きは中途半端な優しさで取り繕ってはいたものの。もしかすると無意識に友子に引かれていったのかもしれない、良美から解放されたいが為に。

慰謝料は親父が払ってくれた。この間なにがあったかを全て話した。親父は黙って調停で決まったお金を一括で払ってくれた。僕を大きくしてくれたラーメンを毎日つくって、一杯500円で少しずつ少しずつ貯めたお金をこんな情けない息子の為に無言で払ってくれた。毎朝早くから店の前の雪をはね、仕込みをし、うるさい客もそうじゃない客も平等に扱い。たんたんと毎日ラーメンをつくっていた。

なにか言って欲しかった。もっと怒って欲しかった、ぶん殴って欲しかった、そして罵倒して勘当してくれたほうが、どんなに楽になれたことか。

しかし、親父は一言も発することなくお金を用意し母に手渡した。

泣きながら受け取ったその茶封筒はもの凄く重たかった。

僕は次の仕事を探さなくてはならなかった。払わないといけないのは慰謝料だけじゃなく養育費もあるからだ。僕は良美に対してすごく負い目を感じていた。不倫したことも彼女を最後まで守ってあげられなかったことも全てにおいて。

だから、調停で決まった額の倍のお金を振り込んでいた。正社員の仕事と影でバイトも隠れてしていた。ご飯もまともに食べずに職場で倒れたこともあった。病院では栄養失調と言われた。戦後みたいな病名だ。心身ともにまた悲鳴をあげていた。

俊太と約束した居酒屋についた。

俊太は偉く大人になっていて役場で働いているらしい。僕はなかなか直美のことを話せずにいると俊太からその話しをしてくれた。そんなこともあったよなと笑い話に変わっていた。僕らはいつのまにか大人になっていたんだと気付かされた。

それでも僕はちゃんと謝らないととしっかり話しをすると、また笑いながら

「なんだよまだ気にしてたの?気にするな飲め飲め」と言って乾杯した。

酒の勢いで離婚までの経緯や、実は死のうと思っていた時に俊太から電話がきたことを思わず話してしまった。俊太はそうかといっだけで、暫く沈黙した。

「実はさあ、俺最近、高校の時の連中とよく飲んでるんだけどさあ。」と言って周りを見渡した。つられて俺も周りを見渡したが酔っぱらいの親父たちがネクタイを額にまいてる姿しかなかった。

「男、俺一人なんだよ、いっつもなんかアウェイでさあ、心細いんだ、だからお前も来いよ」

断る理由がなかった。

何日かしてからその飲み会に参加した。
僕は固まった。直美がいる。しかもすごく大人っぽくなっていてその魅力は僕を仰け反らした。優しさと強さが同時成立している彼女の顔はこの前まで死のうとしていた僕に眩しすぎる。高校の時の思い出と言えなかった好きという言葉が頭の中をぐるぐる回り、酒もどんどん回っていった。

俊太は直美に彼氏がいないことを知って僕に連絡してきたことを後から聞いた。

気付けば二人隣同士に座らされていて、他のメンバーは何故か少し離れて敢えて別のグループのように世間話やテレビの話しで盛り上がっていた。

僕と直美は昔の話し今の仕事話し、なんでも隠さずよく話した。死のうと思った後は不思議となんにも怖くなくなっていた。

何回かその飲み会を繰り返すうちに僕は今度こそちゃんと好きと言ってこちらから告白しようと思うようになっていった。

「高校の時も今も大好きです付き合って下さい」

やっと言えた。7年もかかった言えなかった言葉は7年分の重さで持って直美に伝わった。

結婚後、仕事をよりいっそう頑張った。そのうち子供もできた。今こうしていられるのが不思議なぐらい回り道をしてきたと思う。

これ以上下にはいけないという所までいって見ないとわからない大馬鹿な僕は今でも毎年思い出すんですこの僕の物語を雪が降るときに。おわり

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