その日も朝から雪が降っていた。息は白く歩くたびにギュッギュッと音がなる。
車も歩く人もみんな白い煙りを出していて川からも湯気がたち、パルプ工場の大きい煙突からも煙りが立ち上る。顔が痛くなるほどの寒さに私は少し腹を立てる
学校に着くと少しだけ暖かい、暖房のスイッチはまだ入ったばかりのようだ。
まだガンっガンっと音をたてている。
私は席替えになんの期待もしていない。しいて言えば窓側になって欲しいといつも思っている。暖房も近いし窓から外を眺めるだけでよかったから。この前の席替えでやっと念願の窓側になった。
窓に映る自分の顔を見て、はじめて化粧をした時を思い出す。自分で可愛いなんて思ったことなんかないけど、化粧をすると自分の中まで変われる感じがした。
教室が騒がしくなって我に戻った。
黒板のほうに視線を戻すと、誰かの視線を感じた。教室をぐるっと見渡しても誰も私を見てはいない。でも気になった。
「はい、みんな席について。」
また視線を感じた。次こそはと思い後ろまで首を回すとおもいっきり目があってしまった。どうしよう。急に顔が熱くなった。
「……になるからちゃんと忘れないようにしろよ」
先生がなんの連絡をしていたかも聞こえないほど恥ずかしかった。いや嬉かった。この高校にきてはじめてアノ人をみてからずっと気になっていた。けど私なんて相手にされないだろうし、女友達すらいない私に男子と話しをするなんて想像もできなかった。
でもはっきり目があった。明らかに私を見ていたのはアノ人だった。
その日はずっと落ち着かなかった。
もしかするとただからかっているだけかもしれないし、たまたまかもしれない、けどからかっているのならなんだか少し腹が立ってくる。
私はまた窓から外を眺めていた。
「お母さんに似てキカナイね」
とふいに叔父の言葉を思い出すとなんだか可笑しくなった。
先月、看護学校に願書を出した。来年の試験の為に勉強しないと、私は自分に言い聞かせて騒ぐ心を落ち着かせる。
落ち着かせようとすればするほど落ち着かない、そんな日を何日も繰り返していくうちに私はある決断をする。
キカナイ私の決断だ。続く。
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