2016年9月14日水曜日

おじいちゃんの台詞

僕の実家はもうない。あると言えばあるのだが、それは姉の旦那さんが建てた立派な家だ。むかしむかしその立派な家が建っていた土地に僕の実家は確かにあった。

母方のお父さんつまり僕のおじいちゃんと両親と兄弟4人で暮らしていた日々。

僕の親父はつまり奥さんのお父さんと同居していたことになる。

世の中のお父さんに問いたい!自分の奥さんのお父さんと一緒に暮らしたいですか?

答えは多分NO だろう。しかしどういういきさつかは詳しく知らないが、そうなったていたのである。

僕なら無駄な気を使いすぎて毎日疲れてしまうかもしれない。慣れてきてその内気にしなくなるかもしれない、でも最低限の気は無意識に使うだろう。

しかしうちの親父は割りと自由に生活していたかもしれない、本当のところは知るよしもないが、幼かった僕からはそう見えたのだ。

僕も大人になると酒を飲むようになった。父は一緒に飲みたかったのだろうか?よく家で一緒に飲んだ。

親父は酔うといつも同じ話を繰り返した。僕は繰り返し話す話を聞くのはそれほど嫌じゃなかった。

その話の中に親父が朝帰りをした時の話がある。

僕はこの話を聞くのが好きだった。

親父がさんざん飲み歩いて朝帰りをした時、バッタリおじいちゃんと玄関で鉢合わせしたというのだ。

その時おじいちゃんが言った台詞がこれだ。

おじいちゃん「朝までお勤めご苦労さん」

親父は腰が抜けるような思いになったという。

どうだろうか?普通に考えて自分の娘の旦那が朝帰りをしてきてバッタリ朝、玄関で鉢合わせしたら?

あなたならなんて台詞を言うだろうか?

おじいちゃんは「朝までお勤めご苦労さん」と言ってのけたのだ。

親父は酔うとこの話を何度もしていた。

僕も何度も聞いた。

おじいちゃんもボケてはないし頭の良い人だったので親父が飲み歩いて朝帰りをしてきたのは百も承知の筈だ。

親父はこの時の感想をこう言っていた。

「おまえな、怒鳴られるよりよっぽど効いたど、朝までお勤めご苦労さんだぞ!いやーあれには参った」と

あれほどのお灸はないのだと親父はおじいちゃんを誉めちぎっていた。

僕もそう思う。

僕はこの話を聞くのが好きだった。

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